子どもたちと世界平和

副園長だより

 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件から、今年で25年という大きな節目を迎えました。四半世紀が経過した今でもなお、世界各地では紛争や対立が絶えず、私たちは「いったいどうしたら世界は平和になるのだろうか」という根本的な問いに突き動かされ続けています。

 政治や経済の仕組みだけで平和を築くことには限界があります。この果てしない問いを紐解く鍵は、今の時代を生きる人類一人一人の「心の問題」と深く結びつけて考えることにあるのではないでしょうか。  

 それは、怒りや偏見、他者への無関心といった個人の心の中にある小さな葛藤や拒絶が、巡り巡って社会の分断や国同士の対立へと拡大していくのではないかと考えるからです。

 世界平和を実現するために、私たち大人が果たすべき責任は重大です。一市民であっても、社会の動向に関心を持ち、相反する意見者とも対話を諦めずに前向きな意識を広げていく姿勢があれば、社会の仕組みに対して、なにがしかのよき影響を届ける事ができるからです。

 しかしそれ以上に大切な役割があります。それは、これからの時代を生きる子どもたちに何ができるかを考え、その基盤を整えることです。

 次の時代を作っていく子どもたちの心に他者を思いやり、多様性を認める「平和観」を育むこと。これこそが、実は遠回りに見えて最も確実な世界平和実現への道なのではないかと考えることが増えてきました。子どもたちが互いの違いを尊重し、対話によって問題を解決する心を育むことができれば、未来の社会はその精神と行動によって形作られていきます。

 今年の9月11日、芙蓉園ではちょうどお誕生会がありました。私は毎月お誕生会の際に、子どもたちの前で話をするのですが、今回はこの話題を選びました。

 子どもたちの反応を見ながら言葉を選び「平和をつくりだせる人になりましょう」と語りかけました。こうして考えてみると、平和はまさに教育の責任であるとも言えるかもしれません。知識を教えるだけでなく、平和を願う心とそれを実践する強さを子どもたちの胸に育んでいくことこそ、教育が果たすべき最大の使命ではないかと今回改めて強く感じました。

 今現在、横暴に他国を攻撃する国々がある中では、国防力を更に強固することも重要なことでしょう。しかしそうした力と力の問題だけに意識を向けるのではなく、その一方でこれまでの様々な悲惨な出来事を風化させず、過去の悲劇を未来への教訓としながら、たとえ小さなことであってもできることを考え続け、一つでも行動に移していくことは、今を生きる大人の責任です。

 子どもたちへの教育を通して、真の平和への歩みを進めていくこと。世界のすべての人が穏やかに暮らせる未来を願い、強く祈らずにはいられません。