イタリアの息吹
芙蓉園だより年長児『異文化コミュニケーション』の時間。
今回の国は“イタリア”です。
このテーマに、三紗絵グルエットさんが来て下さいました。
三紗絵さんは、アメリカ人のお父さんと日本人のお母さんを持つ方で、母国語は英語、そしてイタリアで5年間暮らした経験があります。
その経験を活かして、今回は子どもたちにイタリアについて話していただきました。
まず導入として、イタリアがどういう国なのか、その概要を話してもらいました。
写真と実体験を交えた説明に、子どもたちは興味津々です。
続いてイタリアの絵本を読み聞かせ。
1冊目は「バス75号」。
今回子どもたちのために、三紗絵さんが独自に日本語へ翻訳してきてくださいました。
各ページごと、まず三紗絵さんがイタリア語で読み、続いて保育者が日本語でお話を読み進めます。
少し長いストーリーでしたが、子どもたちは序々に不思議な物語の世界に引き込まれていきます。
次のお話に移る前に、そのストーリーの背景について改めて写真を紹介しながら、詳しい説明を聞きました。
2冊目は「むらさきいろの窓」
イタリアとアフリカの少年2人の友情物語に、画家ポール・クレーとアートの世界が交錯する、味わい深い余韻が残るお話です。
お話が終わった後の静けさと子どもたちの眼差しを見て、大切なメッセージが届いたことを感じました。
今、園外で英語を習う子どもたちが増えてきました。
しかし、どうも英語を習うこと自体がステイタスになっているような雰囲気が、少し気になるところです。
まず母国語が自分たちの文化の真髄です。
私たちは日本人ですから、日本語をきちんと身につけることは、日本人である自分自身をつくりあげていくことに他なりません。
その上で出会っていく異言語とは、あくまでコミュニケーションをとるための手段であり、目的ではないでしょう。
今日、日本語でも英語でもない、イタリア語独特の響きを全身で受け止めた子どもたちは、いったい何を感じたでしょうか。
世界にはたくさんの国や文化、言語があることを体験することで心の中に宿る、柔らかで開かれた感性は、これから自分自身を耕していく大きな力になることを信じています。